事例155(基礎切断部)
こんにちは住宅検査カノムの長井です。
夕方、豊橋からの帰り
東名高速で音羽蒲郡から渋滞18KM。
1時間くらい余分に時間かかりました。
明日からの週末、ETC割引の影響による
渋滞に気をつけたいと思います。
■(1)今回の事例__________________
・「基礎主筋切断 補強なし」
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◆写真解説 ↑クリックすると拡大します
入り口をつくるために
基礎の主筋を切断している(矢印間)が
その補強が全くない。
基礎の強度低下は確実。
◆内容説明
勝手口のドアを基礎より下げて付けるために
基礎を低くした部分。
今回の現場は、施主さんがおかしいと思い
途中から検査依頼を受けました。
設計、施工者が経費を安くするためか
基礎の配筋図面はなく完全に職人さん任せ。
この事例以外にも信じられないことが連発!
(次回以降で取り上げます)
基本的に木造2階建ては
基礎の構造計算は必要ありません。
基準法に最低限の基準はありますが
今回のような細かなことまでは決められていなく
建築士がきちんと関与しないとダメです。
ベタ基礎・・・と言いながら
おかしな基礎がたくさんあります。
今回の例のように基礎の高さを落とす場合は
落とした部分で基礎が連続するように
主筋を入れ、斜め筋や縦筋の上部に
フック(鉤形に先を曲げる)を付けたりして
補強します。
◆対策
職人さん任せの基礎施工を防ぐためには
基礎図面の提出を求めましょう。
基礎図面は 基礎を上から見た基礎伏せ図と
鉄筋の組み方がわかる基礎の断面図が必要です。
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■(2)編集後記(普段はメルマガのみに記載)
完成済みの家の検査に行って
構造的に完全な法違反や重大な欠陥を見つけた場合
その後の対応がやはり気になります。
だいたい月1件くらいのペースで
そのような家があるのですが
先月検査した家のお客様から
業者が非を認めてくれて
家を建替えるなど何でも対応しますと言ってくれている。
とのうれしい報告をいただきました。
この例は
法改正により作業が増えたり、変わったりして
熟練した職人さんでもミスが起きてしまった例です。
このようなミスの防止策として
現場管理を強化すればよいのですが、
人員削減で余裕がないとか
今年施行される住宅瑕疵担保履行法だけに頼ってしまえば
管理は十分とは言えず
問題は今後も解決しないでしょう。
検査をしていて強く思いますが
一人一人の職人さんが確実に施工できるような
体制にしないとダメでしょう。
ほとんど多くの工務店さんは大工さんを社員ではなく
請負形態で使っています。
経営的に社員にすることは無理にしても
職人さんを会社に根付かせ、
教育することが大事だと思います。
そんなことより
仕事を取るほうが先だと言われそうですが・・・
姉歯マンション偽装事件のように
品質における問題が発覚した場合、影響は重大です。
それが原因で会社が倒産でもしたら
施主はもちろん、その会社で働く社員、取引先など
多くへ波及します。
完全な現場なんてない
ミスは誰にでも起こりうる。
きちんとした家造りには
それなりの手間がかかります。
慎重な業者選びがやはり大事です。