レオパレス問題のコメントの一部
TV取材で、レオパレス問題についてコメントした内容を紹介します。
今回も東海地区だけの放送。
放送されたとしても、TV局側が正しく理解していない懸念もあります。
Q:なぜ、重要な界壁の施工忘れがたくさん起きたのか
A:界壁施工を担当する大工と現場監督の無知。
過去、木造アパートの工事中の検査依頼が多い時があった。
今回と同様に、小屋裏部の未施工を何件か指摘。
大工に直接指示をすると、施工の必要性を理解していなかった。
初めてアパートを手掛けた場合、界壁施工を理解してないケースが多い。
レオパレスも、常に新規の大工を探していたはずで、
新しく入った大工が知らずにやっていたケースが多いと思われる。
そんな状況でも、現場監督に知識があり、現場をきちんと見ていれば
施工忘れは生じない。
界壁以外の不備においても、職人と現場監督の無知が原因であることが多い。
無知型の施工不備を防ぐのが、建築士の工事監理。
昔は、監理者が現場に行かないのが当たり前。
建築士法が厳しくなってから、建築士が罰則を恐れ、
多少、機能するようになった感じはあります。
大工が故意に施工しなかった現場もあるかもしれませんが、
一人親方で自分に責任が来る立場の大工が、リスクを冒すことは少ないと思います。
Q:「確認申請の完了検査」に問題は無いか
A:完了検査に脚立を持ってきて、小屋裏をのぞくことはどこの検査機関もしていない。
30年ほど前、私がアパートの現場監督をしている頃は、役所の人が、小屋裏をのぞいて
いた時もあったが、今は役所の担当者でもやらないと思う。
完了検査の申請時に、建築主の代理人である建築士が書類を出す。
その書類に、工事監理状況を書く欄があり、通常、監理者が問題ない旨を記載する。
検査機関は、監理者を信頼し、検査というよりは確認に来ているのが現状です。
この書類、現場に一回も行かなくても、書けてしまう。
規格住宅であれば、同じものを使い回しできる。
Q:完成検査の制度を変えられないか
A:確認申請の現場検査強化までは、国土交通省は踏み込まないと予想します。
検査を強化するなら、人を増やしたり、費用を上げないといけません。
その他にも質問を受けましたが、長くなるので省略します。
今回の問題については、回答に何度も出てくる建築士の工事監理がきちんと機能していれば、
起きていなかった。
昔、住宅系などでは、設計者が工事監理に選任されることが多く、
設計業務だけで手一杯の建築士が、現場へ行くことはなかった。
その体制を取っていた会社の責任以外に、国土交通省が建築士個人に処分を下すか注目です。
※「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、
それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。
(建築士法からのコピー)