事例678『基礎の瑕疵を見逃した』
こんにちは住宅検査カノムの長井です。
紛争処理が忙しいです。
遠方からの問い合わせも最近、急増。
ただ、費用面で依頼できないケースも多いです。
最初だけ安く、あとが高いという手法は取っていません。
■(1)今回の事例_________
「基礎の瑕疵を見逃した」
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◆写真解説
瑕疵保険会社の重大な検査ミス。
基礎の配筋が図面と違う、基準法違反があるにもかかわらず
合格を出した。この書類が裁判で大問題になっている。
◆内容説明
今回は、具体的な建物の瑕疵ではなく、
検査のミスの説明です。
ここに書くくらい、困った問題で、試行錯誤しています。
図面より細い鉄筋が入っていても
本数が足らなくても、
かぶりが大幅に不足していても
保険の検査は合格。何を見て〇を付けているのでしょう。
国から認定を受けた会社ですが
検査が厳しいとは限りません。
厳しく検査を行えば、業界が混乱するため
わざと緩くしていると思います。
◆対策
瑕疵保険の検査だけに、品質チェックを任せない。
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■(2)編集後記
瑕疵保険の検査は緩いため
重複して外注の検査会社へ出している施工業者も多い。
そのくらい業界内では、期待されていない検査なのに
裁判所の見方は違う。
瑕疵保険会社は5社しかなく、国の認定を受けています。
お堅いイメージから信用されやすい。
現在進行中の裁判で、重大な瑕疵の内容に対し、
専門委員が保険の検査が合格だから問題はないでしょう
と言い出した。当然、裁判官は信用します。
専門委員とは裁判官に対して、専門的事項を説明する人で、
建築士会や建築学会から推薦された人が就任すると聞いています。
建築士会で推薦されるまでになるには、
役員を長くやったりするなど、しないといけない。
士業は自分で動いて稼ぐ商売。忙しければ時間がなくなる。
業務に自ら没頭している人ほど、任意加入である士会に
顔を出す暇はありません。
業務量が少なければ、現実とのズレが出やすい。
また、地元で役をやれば、横のつながりも強くなります。
もしかしたら、保険会社と何らかのつながりがあるかもしれません。
調停委員などの質について、岩山健一さんも何度か
ブログで取りあげるなど、一部の人に限った話ではありません。
専門委員の主張を崩し、裁判官の信頼を得ることは大変です。
また一つ、処理をしないといけない大問題が増えました。