事例441『ユニットバス断熱材の手抜き』
こんにちは住宅検査カノムの長井です。
年明け早々、膨大な量の鑑定書作成に追われています。
そのため、昨日ようやく、届いた年賀状をじっくり見ました。
その中に悪徳業者からの年賀状があった。
裏側には、「今年もよろしくお願いします」と
印刷されていました。
一瞬、改心でもしたかと思いましたが、
きっと、事務員さんが脅迫文を郵送するとき、
パソコンへ住所を登録したために、
自動的に送られて来たのでしょう。
■(1)今回の事例___________
「ユニットバス断熱材の手抜き」
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◆写真解説
省エネ対策等級4への対応のため、
ユニットバスの洗い場床裏に断熱材が吹き付けてある。
ただし、施工がいい加減なため、未施工箇所が点在する。
◆内容説明
大手ハウスメーカーの現場。
この件を指摘したところ、メーカーの回答は
「断熱材が必要な箇所であるが、
厚さなど詳細な基準がないので、現状でも問題はない」
いろいろなパターンがある建築では、
基準に対し「完全一致」は難しく、
「部分一致でもOK」は、逃げ口実によく使われる。
これを見て、きちんとした仕事だと、思う人はいないでしょう。
床下で、バレることが、まずないから
職人は、いい加減に施工していると思います。
この施工で、問題がないと開き直るハウスメーカーには
呆れます。
一件認めてしまうと、他への波及が怖いからでしょうか。
◆対策
目につかない箇所に、手抜きが存在する可能性が高い。
隠蔽前に、主要部をチェックする。
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■(2)編集後記
工事が始まってから、欠陥が発覚して
相談に来る方が本当に多い。
それは、仕方がないと思いますが、
業者が悪徳ですと、処理が大変です。
契約前に相談してくれれば、
それなりの予防をはることができます。例えば、
明らかな悪徳業者との契約を排除することや、
契約約款などの差し替えを、指示することもできます。
ただし、大手ハウスメーカーなどでは
いくら施主に不利な内容であっても
一人の例外は認めないとの理由で、約款の差し替えは不可能です。
一般的に、多く使われる契約約款は、
「民間(旧四会)連合協定 工事請負契約約款」
名前から公的な感じで、中立に思えます。
ただし、全国建設業協会など、7つの業界側の団体から
構成される委員会で検討されているものであり、
消費者側の団体は含まれていない。
過去の裁判から、業者側のずるい逃げを断ち切ることなど、
消費者保護を配慮した「日弁連の契約約款」と比べてみると
業者に有利な内容です。
いくつかある中で、ひとつだけ具体的な例を紹介します。
工事内容等に不備があり、施主が完成時にお金の支払いを
止めた場合で、実際には瑕疵ではないとの結論になったときに
支払う金利。
民間連合協定の約款は年10%(昨年改訂前は14.6%)
日弁連の約款は年6%
これは、反対に業者が工期を遅らせた時の遅延延滞金も
同金利であるため、お互い様の感じもします。
ただし、契約工期に余裕を持たせるなど、
業者側にとっては、延滞金の発生は予防できる。
その他、日弁連の契約約款は、
施工の技術基準が、きちんと表記されているし、
瑕疵が発覚した場合、中途半端な補修も禁じています。
ですから、品質に自信がない業者は、
日弁連の契約約款を拒むでしょう。
(拒むような業者とは、契約しなければよいです)
ただし、この約款、理想的すぎるがゆえに、
現実的に難しいと思われる内容も含まれています。
それは、主任(現場)技術者は、
同時に3棟を超える現場を担当してはいけない。
という内容と、監理者をきちんと立て、業務を遂行させる。
多くの工務店は、現場技術者1人が3棟の受け持ちでは、赤字になる。
多くの建築士は、通常の監理報酬では、約款通りの監理はできない。
施主自身が、この2つの追加費用を負担できればよいが、
100万円超の金額であることは確実で、大半は難しいと思います。
その場合、15から30万円ほどの費用で
品質管理面をカバーするのが、第三者検査。
当然ですが、業者側と関係がなく、
甘い検査をしない会社を選ぶことが大事です。
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