事例355『鉄筋のあき』
こんにちは住宅検査カノムの長井です。
今日の検査予定は午後から3件。
もう少し、バラけて欲しいと思いますが、
現場都合ですから、仕方ないですね。
帰りが遅くなりそうです。
■(1)今回の事例___________
「鉄筋のあき」
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◆写真解説
基礎上端の主筋が2本の仕様。
鉄筋同士のあきがない。
コンクリートが鉄筋周囲に行きわたらないため、
一体化を妨げる。
◆内容説明
鉄筋の「重ね継ぎ手」部以外は、
あきを取らなくてはいけない。
鉄筋の適切なあきがないと、
・打設時に砕石が詰まり、ジャンカ(空洞)が発生する。
・コンクリートの付着面積が減るため、強度が低下。
等の影響が出る。
そのためJASS5(建築工事標準仕様書・
鉄筋コンクリート工事・日本建築学会発行)
などで規定が定められている。
規定の一例を紹介すると
コンクリートの砕石。最大寸法が25mmの場合は
あきが 25mm×1.25=31.25mm必要。
写真は主筋2本が完全にくっ付いた状態で
あきは全くない。
この現場、鉄筋は工場で溶接付けによって
組み立てられ、現場に搬入された。
よって、基礎職人のミスではなく、
メーカーの指示が間違っている。
※この現場は大手ハウスメーカーです。
私の指摘に対し、強度上余裕を持って設計しているので
問題ないという回答をもらいました。
JASS5に違反していることについてはノーコメント。
建築工事標準仕様書より自社基準が、優先なんでしょうか?
◆対策
・重ね継ぎ手が複数集中する箇所
・各種補強筋が集中する箇所など
あきが施工上取りにくい箇所があり
現場で判断に困ることがよくある。
理想は、設計者が図面作成時に
施工性について、配慮をすべきである。
例えば、人通口の位置を端部に寄せない。
また、外周根入れを深くして、
下端筋まわりの空間に余裕を持たせるなど。
住宅の設計では、そこまで深く考えられずに
基礎を設計している場合が多い。
職人は、図面に従うしかないので
設計者はよく考えて、図面を書いて欲しいと思う。
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■(2)編集後記
今年2月22日発行の事例350
http://blog.kanomu.com/archives/55444805.html
などでも取り上げた「サッシ耐火偽装の問題」
三協立山アルミ、トステムに続き、
YKK AP、新日軽、不二サッシでも偽装が発覚した
というニュースが9日(水)の日経新聞夕刊に載っていた。
これで業界大手5社すべてが
耐火性能不足の製品を販売していたことになる。
販売された製品は、一戸建て住宅を中心に計約3万棟。
国交省は交換や改修を指示している。
以前説明したように、自ら作った社団法人が、
試験なしで認定書を出していた。
トステムの発覚後、国交省の指示で今回3社の製品を
公的機関で試験を実施したところ、
延焼を防ぐため、火災発生時にガラスが20分以上、
樹脂製の窓枠から外れない性能が求められるのに対し、
13分以内にガラスが脱落しかけ、不合格となった。
どこか1社くらい、まじめな会社があるのではと、
正直私は思っていましたので、残念なニュースです。
これだけ仲良く横並びですと
知っていて、故意にやっていたとしか思えません。
価格カルテルなどもあるのではと、疑ってしまいます。
消費者を欺く行為であり、3万棟という被害から
もう少し、報道されてもいいかと思います。
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