欠陥住宅事例9
こんにちは住宅検査カノムの長井です。
今回ご紹介する事例は3件に1件くらいは起きている
事例で、職人やメーカーの認識の不足がひきおこしている
重大な欠陥です。
■今回の事例______________________
・基礎工事の欠陥
□鉄筋に剥離材が付着
(剥離材とは・・コンクリートを付きにくくする油。
型枠など繰り返し使う材料に塗るもの)
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鉄筋コンクリートの鉄筋の役割は?
コンクリートは圧縮力に強くその反面引張り力に弱く
鉄筋が引張り力を受け持っています。
建築で使われる鉄筋は断面が凸凹した異形鉄筋
と呼ばれるものを使い、コンクリートとの付着を高め、
強度を出しているんです。
その反面、コンクリートが付着しては困るものが
コンクリートをせき止める「型枠」です。
何度か繰り返し使用したいためコンクリートの
付着を弱める必要があり表面に剥離材を塗って
コンクリートを流し込みます。
これら全く反対のもの2つが接近して設置されるため
問題が発生して当然です。
それは
型枠に塗った「剥離材が鉄筋に飛び散る」ことです。
今までも10件以上見たことがありますが今回の現場は
型枠を組み立ててから農薬を散布する噴霧器で剥離材を
塗っていました。
この方法は鉄筋、アンカーボルト全てに大量に
剥離材が付着し非常に問題です。
職人、監督も私が指示するまで影響を考えた事がなかった
ようです。また、剥離材の入っている缶やカタログ
などにも「鉄筋に付けるな」などの注意書きもありません。
そこで私は独自に「剥離材」メーカーに質問をしました。
◆質問「剥離材が鉄筋に付いたら強度的に影響はあるか?」
A社・・・あります。注意して施工してほしい
B社・・・問題あるが、コンクリートを流し込む時に
自然に取れるから問題ない。
B社の答えは矛盾してます、コンクリートが触るだけで
剥離材が取れたら型枠に塗る意味がないのでは?
証拠のメールはしっかり保存しました。
◆こんな危険な状況が現実にあるため防衛策を教えましょう。
非常に簡単です。
コンクリートを流し込む前に
鉄筋に剥離材が付いていないか見るだけです。
(油のため濡れたように見えます)
雨など区別が付きにくいときは
手で触れば油なのでベタつきます。
是非試してください。
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■(2)編集後記
昨日検査に伺った現場は非常に現場がきれいでした。
大工さんに「今まで見た中で一番きれいな現場です」
と言うと
「掃除が趣味なんです」と答えてくれました。
整理整頓、掃除好き=几帳面
つまり仕事も几帳面でいい仕事をしてくれます。
私の経験上、基礎や大工工事でぱっと見てきれいな現場は
まず、大きな指摘は出ません。
これは間違いない「法則」です。