欠陥住宅事例25
こんにちは住宅検査カノムの長井です。
今回は「基礎の鉄筋の形状が図面と違う」を紹介します。
■今回の事例_______________________
・ベタ基礎の立ち上がり部、たての鉄筋(以下「縦筋」という)の
上部、図面ではフック形状(端部180度折り曲げ)に
なっているが現場は付いていない。
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このメルマガの上部に書いてありますが
「欠陥」とは 「1、契約違反」
これは当てはまります。
民法上の言葉を使うと図面どうりでない施工は
『債務不履行』
業者にとって債務とは・・
請負契約内容(図面、金額、工期など)のこと
請負契約はまだ物が出来ていない状態での契約形態であり
図面や見積り、記載期日どうりに造ることなどを
約束する契約です。(簡単に言いますと・・)
今回は明らかな契約違反ですが、変更しても仕方がないと
言えない理由は、強度的に弱い方へ変えてしまった事です。
過剰なほうへの変更なら文句はないはずです。
最近はあまり聞きませんが
グレードの低い材料を予算を下げるために勝手に使った
というのもこれらにあたります。
今回、業者側からすれば基礎図はCADの使い回しで
通常2階建ての基礎なら縦筋にフックはなくても良い
と勝手な判断をしたようです。
確かに80%以上(私が思う数字)の2階建て
木造、軽量鉄骨の住宅には縦筋にフックはありません。
3階になると付ける率はぐっと上がります。
しかし、図面どうり造ることは基本中の基本で、
現場での状況などで仕方なく変更する場合は前もって
報告をすることが当たり前です。
今回、問題となったフックですが役割は?
専門的に解説するとわかりにくいため
単純に想像をしていただきます。
1、基礎は建物の荷重を上から受ける。
2、コンクリートは圧縮、鉄筋は引張りを受け持ち、
鉄筋は主に横に入っているものが働く。
3、今度は縦筋を想像していただき
大きな力がかかり下へ基礎がたわんだ事を想像すると
たての鉄筋の上部が真っ直ぐなのとフック付き
どちらが丈夫か想像が付きますか?
4、フックがあることによりコンクリートとの付着を
高め、変形を強く抑えることが出来る。
それでもやっぱりわかりにくいですね。すいません。
◆対策
業者側は図面がCAD化され、コピー図面が多く出回るため
細かい箇所のチェックが必要になるでしょう。
図面、見積もりの記載事項を1つずつ確認する事が
大切です。
私は現場へは4色ボールペンを持ち歩き
記載事項を印してチェックしています。
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■(2)編集後記 (今回は特別に載せてます)
皆さんは裁判で使われる書類を見たことがありますか?
ほとんどの方は見たことないとないでしょう。
先週、欠陥住宅被害ネットの定期会合に
知人の建築士を連れて行きました。
初めて書類の一部を見た彼の感想は
『こんな事まで書類に書くの』
『こんな事は普通だし、影響ないでしょう』など
つまり重箱の隅を突っつくような事まで
不備な事項として施主側の建築士は記載しているのです。
当然その内容について業者は反論してくるので争いは
深まります。
裁判は両者が傷ついて終わると言れる所以はこのような
ところにあるのでしょう。
世の中の多くの業者にこれらの書類を見せたいです。
きっと、いい教訓になるでしょう。
しかし、長続きはしないでしょうけど。
私はこういった事を考慮し、あとで突っ込まれる
恐れのある事項は業者がこんなことするのと反発しても、
現場で説明し是正してもらっています。
これも検査をする上で大事な事だと最近強く思うんです。
たくさんの事例を出していただく
欠陥住宅被害ネットの会合は勉強になります。