事例770『壁の傾斜』
今年2つ目の証人尋問の依頼が来ました。
和解による解決が圧倒的に多い中で、
このところ判決までいくケースが増えています。
尋問までの準備がいろいろ大変です。
■(1)今回の事例______________
「壁の傾斜」
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◆写真解説
1M間で10mm、壁が倒れている。
天井高さ2.4Mなら床から天井間で24mm傾斜。
壁パネルを斜めのまま固定したことが原因。
◆内容説明
木造で壁はパネルの家。
躯体組み立て時に、壁が斜めのまま固定されてしまった。
品確法で壁の傾斜は「6/1000を超えると瑕疵である可能性が高い」とある。
10/1000なので十分瑕疵に値する。
壁が大幅に斜めですと、家具やドア枠との隙間が上下で一定でないなど
目で見て気づくようになる。
自然に直るものではないため、修理をしてもらわないと
一生、傾斜を気にしないといけない。
◆対策
パネル系の家は、意外と壁が傾いていることが多い。
完成してから直すことは困難なので、躯体組み立て時に
傾斜をチェックする。
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■(2)編集後記
確認検査機関、ERIホールディングス株式会社が
構造計算のミスを見抜けなかったとして争っていた裁判。
最高裁がERI側の上告を棄却。敗訴が確定した。
構造計算については、建物の規模などによって
確認検査機関がチェックする内容が違います。
どこまで審査する必要があるかによって、検査機関の
責任は変わってくると思います。
また、構造計算は奥が深い。同じ計算ソフトでもバージョンの違いで
OKだったものがNGになったりすることもある。
確認検査機関を選ぶ以前に、だれに構造計算を依頼するのかが重要です。