事例823「不同沈下を隠蔽」
このところビル、店舗の検査依頼が増えています。
住宅に比べ愛着がないので、多少のことは気にしない
風潮でしたが、変わりつつあるようです。
■(1)今回の事例______________
「不同沈下を隠蔽」
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床根太の下に合計約30mmの合板を挟んでいる。
基礎が沈下し、水平を保つため施工。
このあと躯体の重さでさらに30mm沈下した。
◆内容説明
基礎直下の地盤が弱いと、基礎の重さで即時沈下する。
写真は、木躯体組み立て時に基礎が沈下していたため
水平にするために調整材を入れた。
この時点で本来、基礎をやりかえるべきであるが
費用がかかるため、隠蔽したと思われる。
知識がある業者なら、躯体を載せれば沈下がさらに
増大することが予見できる。
その場しのぎの隠蔽をしたため、取り返しがつかない状態になった。
地盤調査結果の考察を無視した基礎施工が目立つ。
今回の例も、地盤の締固めの手抜きが原因。
◆対策
考察くらいは目を通し、現場の確認を行う。
基礎完成時、基礎天端の水平を確認する。
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■(2)編集後記
ここ数ヶ月間に欠陥検査した現場、ひどい欠陥がある現場ほど、
業者は弁護士を立てて逃げようとしている。
弁護士が出てくれば、施主は怖くなり、あきらめることを期待。
業者がよく使う手です。
回答書を見ても、逃げるケースのお手本通りの回答。
明らかな瑕疵で建築主が危険にさらされている状態でも
「瑕疵はない」で書類を締めくくる。
裁判に持ち込んでも、地方では無知な調停委員が業者を擁護し
消費者側を切り捨てる。
こんな現状が世間に知れ渡っていれば
家を買うのが怖くなるでしょう。